夕と闇

本と旅と日々の暮らし。あわいに消えていくものたちの記憶。しんしんと降り積もる。

何かに夢中になっている人は、気持ち悪い。

先日、自分の中で今一番ホットなバンドのライブに行ってきた。

やー、もう、ほんと、素晴らしかったわけだけども、ふと、何年か前にバンドをやっている友人が放った一言を思い出した。

 

「何かに夢中になっている人は、気持ち悪い。」

 

 細かい部分は違っているかもしれないが、大意は合ってると思う。

一緒にごはん食べてるときに彼はそう言って、それはバンド活動をしている彼自身や、彼の周りにいる人たちのことを言っていて、そのときのわたしはたぶんその言葉に感銘を受けて、今でも憶えているってことなんだろう。

ずっと、忘れてたけど。

 

で、その言葉を思い出してから、今回のライブのことを振り返ってみると、まあやっぱり気持ち悪さはあったかな、みたいな。

 

まず、観客。

わたしはもともとモッシュみたいなのが苦手で、だから今回は二階席最前列で悠々と観覧していたわけだけども、たくさんの手に運ばれて前に押し出されていく人が特に嫌いで、遠くから、あの力を入れすぎて硬直した手や上半身を見るだけで(このイメージ伝わる?)もう、気持ち悪いわけです。

びりびり来る、傲慢さ。

夢中なのは分かるし、ライブっていうのはそういう場なのかもしれないけれど、わたしなんかは、人の褌で相撲を取るなよ、って思ってしまう。

 

そして、わたしの大好きなバンドの人たち。

うん、よく思い出してみると、演奏してるところとか、ちょっと気持ち悪い動きしてた。でも、全然気にならなかった。

あと、途中、観客置いてきぼりなところもあったけど、さすがやな、と思った。

それから、歌ってる人、長身で細身で髪の毛サラサラな感じで色が白くてかっこいい感じだけど、超真剣に歌ってて、一瞬キッ!って般若みたいな表情になってた。

おー、と思った。

いくら気持ち悪くても、わたしは彼らが大好きなのだった。

 

彼らの音を聞きながら、どうしたら、わたしも光の当たるあの場所に行けるんだろう、ってずっと考えてた。

 

わたしの会社生活においては、何かに夢中になって気持ち悪くなることなんて、全く求められていない。

それが許されるのは、何かしらのクリエイティブな仕事に就いている人で、自分の中に閉じこもることで、そしてそれを彼らの信じる正しいやり方で発散することで、他人の欲しがる素晴らしいものを生み出すことのできる人だ。

だから、わたしの理屈だと、ライブ会場の行き過ぎたモッシュの人たちは夢中で気持ち悪いだけで何も生み出していない人になるわけで、ほんと、ただ気持ち悪いだけなのです。

(わたし個人の感じ方なので、気を悪くしないでもらいたいのだけれども。)

 

ということで、だらだら書いたけど、結論としては、わたしも気持ち悪くても許されるような、クリエイティビティを発揮して生きていきたいな、と思った次第。

光の当たるあの場所に、いつか辿り着いてやるんだから。絶対に。