夕と闇

本と旅と日々の暮らし。あわいに消えていくものたちの記憶。しんしんと降り積もる。

『ニルヤの島』 柴田勝家

面白かった!

けど、ちゃんと理解できているかというと、心許ない。

特に奇抜なキャラクターがいるわけではないけれど、どのキャラクターも親しみやすい。

 

章が変わるたびに語り手がころころ変わる構成で、わたしにはそれが読みやすかった。飽きずに読める、という点で。飽きっぽいからね。

もう少し、キャラを立ててくれたほうが好みかなー。白い髪の少女、ってそれだけでもう秘密めいていて、良いよね(笑)

ヒロヤもねー。もう少しねー。

 

しかし、なんというか、読んでいて、作者の執念みたいなものを感じた。本気だった。

自分、何やってるんだろう、ってちょっとだけ思ったよ。

ちょっとだけね。

 

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 以下、Amazonより。

 

生体受像の技術により生活のすべてを記録しいつでも己の人生を叙述できるようになった人類は、宗教や死後の世界という概念を否定していた。唯一死後の世界の概念が現存する地域であるミクロネシア経済連合体の、政治集会に招かれた文化人類学イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の旅のためのカヌーを独り造り続ける老人と出会う。模倣子行動学者のヨハンナ・マルムクヴィストはパラオにて、“最後の宗教”であるモデカイトの葬列に遭遇し、柩の中の少女に失った娘の姿を幻視した。ミクロネシアの潜水技師タヤは、不思議な少女の言葉に導かれ、島の有用者となっていく―様々な人々の死後の世界への想いが交錯する南洋の島々で、民を導くための壮大な実験が動き出していた…。民俗学専攻の俊英が宗教とミームの企みに挑む、第2回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。