『もういちど生まれる』 朝井リョウ
短編連作。
わたしにとって、初めての朝井リョウ。
最初のお話を読んで、なんか自意識が気持ち悪いなー、と思った。
でも、だんだん気にならなくなった。
チューニングされたのか、なんなのか。
周りの似たような他者の存在によって、初めて形づくられるアイデンティティ。
病的な横並び感。
ひよこ売りの箱の中のひよこ。
いつも、誰かに選ばれるのを待っている。
確かに、この人が注目されるのも分かる気がする。
実力がある感じ。
しかし、この作風だと、露出は控えたほうが良いんじゃないかな、とちょっと思うけど。
すり減りそうだから。
あと、作品より、作者が語られる率高そうだから。
『何者』も読んでみようかなー、と思っている。
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彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遙。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。