夕と闇

本と旅と日々の暮らし。あわいに消えていくものたちの記憶。しんしんと降り積もる。

『火星の話』 小嶋陽太郎

良かった。 デビュー二作目らしい。 一作目は本屋で見かけてもスルーだったんだけど、買って読まないとだなー。 ラストも、たぶんこのお話にとって最適に近いかたちで終わらせていて、そこも良かった。 ***************************************************…

『ジェーン・スー 相談は踊る』

選りすぐりの相談事33本をまとめた本、らしい。 ラジオ番組の書籍化。 「アイスの棒の味が嫌い」みたいなやつから、不倫まで、多岐にわたる相談事が並んでいます。 ジェーン・スーって、優しいんだなって思った。 わたしだったら、相談者の自意識みたいな…

『サラリーマン山崎シゲル』 田中光

例外はあるけど、1ページ1コマのギャグマンガ。 めっちゃ面白い。 本屋で見かけたら、立ち読みしてみるべし。 ちなみに、わたしのは両方とも京都で買ったサイン本だけどねー。 イラストまで描いてくれているのだ!! ************************************…

『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』 森見登美彦

ちょっとサボってました。 京都に旅行に行ったりしてました。京都でお坊さんとお話したりしておりました。 というわけで、観光の参考になるかなと思って、『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』を持って行って読んでたよ。 表紙の伏見稲荷大社に、今回初めて行っ…

『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』 穂村弘

これも、穂村弘の歌集。 読むのは、何回目か。 妹のゆゆはあの夏まみのなかで法として君臨していたさ 可能性。すべての恋は恋の死へ一直線に墜ちていくこと ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。 ラケットで蝶を打ったの、手応…

『シンジケート』 穂村弘

穂村弘の歌集です。短歌の本。 読むのは、たぶん二度目かな。 ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり 終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて 積乱と呼ばれし雲よ 錆色のくさり離してブランコに立つ そして…

『百日紅』 杉浦日向子

『百日紅』映画化記念?ということで知人にいくつか杉浦日向子の漫画を借りた、そのうちのひとつ。 ずばり、『百日紅』。 江戸時代、葛飾北斎の生きた時代。 江戸の町での人々の暮らしぶりが垣間見える。 北斎の娘のお栄が良いね。芯がしっかりしていて、で…

『コントロールゲーム』 郷里悟

幻冬舎のキャラクターノベル、という位置づけらしい。 ライトノベル(硬め)って思っておけば良いかも。萌えを前面に押し出したりはしていない。 タイトルと、あらすじが、中身と合ってない。 天才と称される人がいっぱい出てくるけど、そんなに天才っぽくな…

『黒猫と侯爵の従者』 佑羽栞

たまに、少女漫画を読みたくなる。 花ゆめ派です。 もう本誌買ってないけど。 本屋さんでジャケ(帯含む)買いだったわけですが、ストーリーがしっかりしていて面白かった。 一巻できれいにまとまってる。続きがありそうな気配もしつつ。 この作者の人、わた…

『東のエデン』 杉浦日向子

『百日紅』映画化記念(?)ということで、杉浦日向子の漫画をいくつかまとめてお借りした。 <a href="http://mantan-web.jp/2015/05/08/20150508dog00m200030000c.html" data-mce-href="http://mantan-web.jp/2015/05/08/20150508dog00m200030000c.html">注目映画紹介:「百日紅~Miss HOKUSAI~」葛飾北斎と娘による創作と風変わりな日々 - MANTANWEB(まんたんウェブ)</a>mantan-web.jp そのうちの一冊、『東のエデン』…

『忘却のレーテ』 法条遥

突っ込み始めるといろいろあるけど、でも面白かった。 閉鎖空間で毎日記憶をリセットされる。 主人公はその実験に参加する前からすでに精神にある歪みを抱えていて、その主人公の視点で話が進むので(形式的には三人称だけど)、読み手も結構調子狂わされる…

『車掌』 穂村弘・寺田克也

近場の古本市でゲットした本。 いちおう、絵本、みたいな感じ。対象は大人だと思う。小さい子ども向け、という感じではない。 5つのショートストーリーに、挿絵(激しい感じ!)がついてる。 穂村弘は結構好きで、短歌とか、エッセイとか、短歌指南書みたい…

『嘘みたいな本当の話』 内田樹・高橋源一郎 選

普通の人に実話を応募してもらって、良さそうなものをピックアップした本。 1000字以内というしばりがあるので、どれもさくっと読めて、それなりに面白い。 アメリカの本家のやつは読んだことないけど、この先もたぶん、読まない気がする。 あんまり、リアル…

『コロシアム』 土橋真二郎

土橋真二郎、好きなんだー。 お店で新刊を見かけたら、無条件で買ってしまう作家さんの一人。 デビュー作の『扉の外』から追いかけています。まあ、ところどころ、取りこぼしてるけど(笑) そして今回のやつは、イラストが白身魚さんで、かわいすぎるのであ…

『何者』 朝井リョウ

『何者』、読んでみたー。 読み終わった後、最初の感想は、「ずるい」だった。 この終わり方は、ちょっとずるい。 最後に観察者たる語り手を否定することで、どんでん返し的な流れを作っているんだけど、それがちょっと鼻につく。 「語り手に共感して読んで…

『もういちど生まれる』 朝井リョウ

短編連作。 わたしにとって、初めての朝井リョウ。 最初のお話を読んで、なんか自意識が気持ち悪いなー、と思った。 でも、だんだん気にならなくなった。 チューニングされたのか、なんなのか。 周りの似たような他者の存在によって、初めて形づくられるアイ…

『ランチのアッコちゃん』 柚木麻子

連作短編集。 表題作は、そこそこ面白かった。 けどなー。 特に最後の話とか、いま流行りの小説仕立てのビジネス書みたいな感じ。それか、自己啓発本。 作為的だし、押しつけがましい。 普通の小説がスローフードだとすると、これは確かにビタミン小説、ある…

『ここは退屈迎えに来て』 山内マリコ

前に単行本を友人に借りて読んでいて、今回は文庫版での再読。 初回よりも、椎名の存在がくっきり見えた気がする。 わたしも生まれた土地の文化レベルの低さ等々が嫌で、県外の大学を受けた身の上なので、この小説に描かれている女の子たちの気持ちはちょっ…

『子供はわかってあげない』  田島列島

とても良かった。 これ読んだら、なんか満足しちゃって、あの事件を含めた一連の流れがぜんぶ未来のわたしのためにあるような気がして、救われた気分になった。 馬のジョニー(だっけ?)のところが好き。 そうだね、制御なんて、できないんだよね。 わたし…

『半導体探偵マキナの未定義な冒険』 森川智喜

探偵ロボットが、エラーを起こした探偵ロボットを見つけ出し確保する話。 面白かったけど、面白かった止まりかなー。 特に感情が揺れたりはしなかった。 ************************************************************* 半導体探偵マキナの未定義な冒険 作…

『生命と記憶のパラドクス』 福岡伸一

福岡ハカセの本は初めて読んだのだけれど、とても面白かった。 前に『生物と無生物のあいだ』を買って読まずに放置し、本の海に紛れてもはやどこにあるのか分からない状態なので、これはちょっと買いなおす必要があるかもしれない。 福岡ハカセが週刊文春に…

『舟を編む』 三浦しをん

文庫落ちしていたので、読んでみた。 映画にもなりましたね。 売れてそうだからどうかなー、と思ったけど、普通に面白かったです。 プロジェクトXとか(あんまり見たことないから良く分かんないけど)、歴史ものみたいな感じの時間スケールで、いろいろ省略…

『テキスト9』 小野寺整

毎回毎回「面白かった」で申し訳ないけど、この本もかなり面白かった。 というか、この年になると、そんなにハズレ本引かないよねえ…。 というか、つまらない本最後まで頑張って読まないよねえ…。時間もったいないし。 説明するのが難しい。 途中、闇鍋みた…

ビジネスモデルのお勉強~三谷宏治『ビジネスモデル全史』を読む。その1 

お勉強メモです。 普通の本だと一気にばっと読んじゃうのですが、ちょこちょこメモしていったほうが、あとから見返すことができるし、忘れないかな~、と思いまして。 教材は、三谷宏治の『ビジネスモデル全史』。 例のごとく、本屋で衝動買い。面白そうだっ…

『ニルヤの島』 柴田勝家

面白かった! けど、ちゃんと理解できているかというと、心許ない。 特に奇抜なキャラクターがいるわけではないけれど、どのキャラクターも親しみやすい。 章が変わるたびに語り手がころころ変わる構成で、わたしにはそれが読みやすかった。飽きずに読める、…

『ホーンテッド・キャンパス なくせない鍵』 櫛木理宇

もう7巻なんだねー。 この人、他のシリーズも出してるし、かなりのハイペースだな。 学生運動とか、あさま山荘事件とか、そのあたりの話が興味深かった。 当時の状況ぜんぜん知らなかったから。高野悦子の『二十歳の原点』はいちおう読んでたけれども。 日…

『君のコトなど絶対に 1』 田中メカ

成金腹黒王子×ピュアなお嬢様の、リリカル★復讐ロマンス、だってさ。 少女漫画。 王子が良い感じにひねくれていて、面白かった。 あと、鈍感で可愛いヒロイン好きなので、そこも◎。 絵もストーリーもしっかりしている印象。 続きも読みます! **************…

『企画は、ひと言。』 石田章洋 ~ウケるアイデアは、いつも「ひと言」~

『世界ふしぎ発見!』などに携わる放送作家が、優れた企画を生み出すコツを書いた本。 内容は、 ・優れた企画はひと言で言い表せる。 ・実現可能性と新しさのバランスが大事。斬新すぎると責任者がイメージできないから、企画は通らない。 ・ベタ(定番)を…

『ワラをつかむ男』 土屋賢二

わたしにとって、初めての土屋賢二。 エッセイ集です。 いやあ、ほんとに、くだらなかったw ちゃんと書けばもっとちゃんとした文章を書けると思うんだけど、こういう一筋縄ではいかない感じのものを書かざるを得ない、この人の精神構造に思いを馳せたり馳せ…

『その女アレックス』 ピエール・ルメートル 橘明美訳

描写は結構えぐいけれど、話の展開が気になって、ぐいぐいと引き込まれる。 最後はアレックスに感情移入してしまって、もう…。 なんか、何書いてもネタバレになりそうなので、実際に本屋さんで手に取って最初のほうを立ち読みしてみれば良いんじゃないかな?…