夕と闇

本と旅と日々の暮らし。あわいに消えていくものたちの記憶。しんしんと降り積もる。

『シンジケート』 穂村弘

穂村弘の歌集です。短歌の本。

読むのは、たぶん二度目かな。

 

ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

 

終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて

 

積乱と呼ばれし雲よ 錆色のくさり離してブランコに立つ

 

そして、最後の『ごーふる』。

初めて読んだときはかなりの衝撃だった。

 

「そしてホチキスの針の最初のひとつのように、自由に、無意味に、震えながら、光ながら、ゴミみたいに、飛ぶのよ。」

 

わたしもかなり不器用でぼんやりしてる人間なので、分かる。

ほむほむと一緒かは分からないけど、分かる、気がする。

 

棒アイスは、家では食べない。

(他のことに夢中になって、落とすから。)

気がつくとヨーグルトでシャツの胸元が汚れてる、朝。

 

なんでみんな、平然と、当たり前みたいに生きてるのか。

不思議だよねえ。

叫びたくなったりは、しない?(わたしは車の中で叫ぶ。)

 

 ***************************************************

シンジケート

シンジケート

 

 「風の夜初めて火をみる猫の目の君がかぶりを振る十二月」 水滴が雪になるようにことばが結晶化して歌になる。そんなピカピカの恋を詠んだ穂村弘の初の歌集。