『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』 穂村弘
これも、穂村弘の歌集。
読むのは、何回目か。
妹のゆゆはあの夏まみのなかで法として君臨していたさ
可能性。すべての恋は恋の死へ一直線に墜ちていくこと
ハロー 夜。ハロー 静かな霜柱。ハロー カップヌードルの海老たち。
ラケットで蝶を打ったの、手応えがぜんぜんなくて、めまいがしたわ
リトマス試験紙くわえて抱きあえばきらきらとゆく夜の飛行機
下の説明文、結構がんばってる感じだね。
全体的に、夜みたい。宇宙とつながってるの。触れられる孤独。
人は死ぬまでひとりだけど、それでも、わたしたちは求めるのだわ。
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異色の短歌入門書『短歌という爆弾』(小学館)で、「何者かでありたいあなた」の心に衝撃を与えた歌人、穂村弘が9年ぶりに放つ書き下ろし連作歌集。キャバクラ嬢やウエイトレスをして暮らす女の子「まみ」は、歌人「ほむらひろし」にせっせと手紙を書き送る。妹の「ゆゆ」や最愛のクロウサギとの、詩的でほわほわしていて乱れていてストイックな生活、まみとゆゆを巡る恋人や友達や隣人たち、そして切なくふるえるまみの心、愛、祈り。新鋭イラストレーター、タカノ綾のキュートでエロティックなイラスト20点とともに、ピュアで切なく危険で甘い「愛と永遠の希求」をハイテンションに書ききるこの歌集は、短歌というかたちをとった鋭利なナイフだ!