夕と闇

本と旅と日々の暮らし。あわいに消えていくものたちの記憶。しんしんと降り積もる。

『車掌』 穂村弘・寺田克也

近場の古本市でゲットした本。

いちおう、絵本、みたいな感じ。対象は大人だと思う。小さい子ども向け、という感じではない。

5つのショートストーリーに、挿絵(激しい感じ!)がついてる。

 

穂村弘は結構好きで、短歌とか、エッセイとか、短歌指南書みたいなのとか、好んで読んでいる。

良いよね、穂村弘。一番好きな歌は暗誦できるよ。

 

 表題作『車掌』インパクトといったら…!

最後の『なつ』も良い。『珈琲ビートル』も香り立つようで良い感じです。

 

しかし、そうか、都会の人は車掌さんを見たことなかったりするのか…。田舎だとしょっちゅう切符拝見とかしてるけども。

 

えほんからかおをあげると

海のてまえで

おしんごうがゆっくりと瞬く

 

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車掌

車掌

 

 ドアがあいて 車掌が入ってきた…「てにもつをいまいちどおたしかめください」 あいまいにうなずいたとたん…車掌の指がぼくののどに食い込んだ-。言葉の魔力と圧倒的な画力で穂村弘寺田克也が贈る5つの物語。

『嘘みたいな本当の話』 内田樹・高橋源一郎 選

普通の人に実話を応募してもらって、良さそうなものをピックアップした本。

1000字以内というしばりがあるので、どれもさくっと読めて、それなりに面白い。

 

アメリカの本家のやつは読んだことないけど、この先もたぶん、読まない気がする。

あんまり、リアルとフィクションを分けて捉えたりしない性分なので、現実であることに価値を置かないというか、フィクションで十分というか。

 

でも、日本のやつはアメリカのものに比べて均質だという話だから、アメリカのほうはリアルだからこその価値があるのかもしれないな。

小説書く人間の所属するグループ、階層が偏ってそうだもの。

小説に拾われないリアルが、たくさん埋もれてそう。

 

大阪でインタビューしたら、なんとなく面白い話が集まりそうな気がする。

我が強い、というか、個性的であろうとする、というか、そういう人が多いイメージあるから。

まあ、偏見だけど。

 

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嘘みたいな本当の話 (文春文庫)
 

 あらゆる場所の、あらゆる年齢の、あらゆる職業の語り手による、信じられないほど多様な実話。それは、ささやかな善意やご縁の糸が絡み合う、「嘘みたいな」本当に起こった話だ。
応募総数1500近くの中から、知の泰斗ふたりが選りすぐった149のリアルストーリー。

ポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」のいわば日本版。
日本が「物語る」声が聞こえてくるような奇跡の一冊が、ついに文庫化! 

北欧旅行記2014その13 デンマークは、フレデリクスボー城!2

2014年の秋に北欧を旅したときの記録です。

今回は、デンマーク、フレデリクスボー城の続きと、水族館なり。

 

この回で、ようやく、旅行4日目を終えることができました。やったね。

 

さて、この日のスケジュール。

・ホテル → 市庁舎前広場 → ストロイエ → コンゲンス・ニュートウ → クリスチャンスボー城 → 王立図書館 (徒歩) ←その7で記録済み

・王立図書館前 → カステレット要塞近く (水上バス

・人魚の像 → カステレット要塞の縁 ←その8で記録済み

→ ニューハウン → ローゼンボー離宮 (徒歩) ←その9で記録済み

・列車で、ヘルシンオアへ。クロンボー城見学。 ←その10、その11で記録済み。

・列車で、ヒロレズへ。フレデリクスボー城見学。 ←イマココ。その12からの続き。

・列車で、The Blue Planet(北欧最大?の水族館)へ。

・ホテル帰着。

 

さあ、はじまり、はじまり。

今回は(前回も?)全体的に写真が雑で、どれだけ疲労してたが推し量れる。。。

 

●●●第4日目、つづき●●●

 

お城の中へ。

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窓の外ばっかり撮ってる。

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これは、たぶん天球儀。

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『コロシアム』 土橋真二郎

土橋真二郎、好きなんだー。

お店で新刊を見かけたら、無条件で買ってしまう作家さんの一人。

デビュー作の『扉の外』から追いかけています。まあ、ところどころ、取りこぼしてるけど(笑)

 

そして今回のやつは、イラストが白身魚さんで、かわいすぎるのであります。

やっぱり『扉の外』を思い出しちゃうなー。

『扉の外』のイラストが白身魚さんのかわいいやつじゃなかったら、この人の本を手に取ることはなかったかもしれない。

今回の本の巻頭のピンナップと、ラストの見開きのイラスト、好きすぎる。

 

この人の作品の好きなところは、語り手の男の子がかっこいいのと、ヒロインの女の子がかわいい、ってところかな。

語り手の男の子はどの作品でもそんなに変わりばえしないんだけど、今回のヒロインは身体的な特徴があって、そこがなんだかとても良い。なんでだか分からないんだけども。

 

最後のほうで明かされる学校のシステムもちょっと面白い。

 殺し合いじゃなくて、普通に学園ものをやってもらってもいいぐらい(笑)

 

続きそうな気配があるので、続編を楽しみに待ちますかー。

 

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コロシアム (電撃文庫)
 

 自殺したはずの少女が送り込まれたのは、死と隣り合わせのデスゲーム。
土橋真二郎×白身魚で贈る最新作!

『扉の向こうのコロシアムで殺し合っていただきます』
少女が目を覚ますと、そこは見たこともない空間。拳銃とナイフが与えられ、殺し合いを強制される。無慈悲に仕組まれた死のゲーム。集められた30人のうち、生き残れるのはただ1人――。
高校生の萩原悠人は、ある日ネットで拾ったアプリから「コロシアム」というデスゲームの開催と、そこに自殺したはずのクラスの中心人物・月島伊央が参加していることを知る。アプリを使って外部から彼女をサポート出来ることを知った悠人は、クラスメイトたちと共にゲームのクリアを試みるが……。集められた30人の共通点が、悠人たちに恐るべき真実を突きつける! 目を背けることは許されない、学園サバイバルサスペンス!

『何者』 朝井リョウ

『何者』、読んでみたー。

 

読み終わった後、最初の感想は、「ずるい」だった。

この終わり方は、ちょっとずるい。

最後に観察者たる語り手を否定することで、どんでん返し的な流れを作っているんだけど、それがちょっと鼻につく。

「語り手に共感して読んでたでしょ? ふふん、俺はもっと上にいるんだぜ」みたいな作者の声が聞こえる感じ。

 

小説書く人は、基本、観察者だと思うので(このことについては、あんまり例外が思い浮かばない)、わたし的にも痛いところがあり、それはたぶんこの作者も同じで、だからどんでん返しを用意して自分を守ってるんだね感が多分にありました。

俺はこいつとは違う、みたいな。

 

でも、面白かった。

意識高い(笑)な人の描き方が、リアルすぎる。

ツイッターとの距離感とか。

わたしも結構真面目に就活やったので、懐かしかったところもあり。いろいろやって、結局推薦で就職したクチですけども。 

 

この人は、あくまで、「いつか何者かになれる」「自分は他の人とは違う」と根拠なく思っている人たちを否定したいみたいだけど、自分の人生が自分にとって特別なのは当たり前じゃん?

どうせ百年後には、誰しも現実という淡い夢から目覚めるんだよ。

どこから来て、どこへ行くのかも分かっていないのに、このひとときの夢の現実で信じていることの何を否定するの?

そこに何の意味があるの?

能動的に自分の意志で生まれてきた人なんていないし、夢の中で、主体的であろうがなかろうが、大した違いなんてないんだと思う。

結局、本人が楽しいか楽しくないか、だけじゃないかね。

 

描かれる世界の狭さと価値観のばらつきのなさが、この人の特徴か。

 

いろいろ書いたけど、読んで良かったと思う。

他のやつも読もうっと。

 

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何者

何者

 

 第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞 

影を宿しながら光を探る就活大学生の切実な歩み。あなたの心をあぶり出す書下ろし長編小説。

『もういちど生まれる』 朝井リョウ

短編連作。

わたしにとって、初めての朝井リョウ

 

最初のお話を読んで、なんか自意識が気持ち悪いなー、と思った。

でも、だんだん気にならなくなった。

チューニングされたのか、なんなのか。

 

周りの似たような他者の存在によって、初めて形づくられるアイデンティティ

病的な横並び感。

ひよこ売りの箱の中のひよこ。

いつも、誰かに選ばれるのを待っている。

 

確かに、この人が注目されるのも分かる気がする。

実力がある感じ。

 

しかし、この作風だと、露出は控えたほうが良いんじゃないかな、とちょっと思うけど。

すり減りそうだから。

あと、作品より、作者が語られる率高そうだから。

 

『何者』も読んでみようかなー、と思っている。

 

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もういちど生まれる (幻冬舎文庫)

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)

 

 彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遙。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。 

 

何者

何者

 

『ランチのアッコちゃん』 柚木麻子

連作短編集。

表題作は、そこそこ面白かった。

 

けどなー。

特に最後の話とか、いま流行りの小説仕立てのビジネス書みたいな感じ。それか、自己啓発本

作為的だし、押しつけがましい。

 

普通の小説がスローフードだとすると、これは確かにビタミン小説、あるいはサプリ小説かなぁ…。

手っ取り早く、なんかしらの効果や結果や達成感が欲しい人向け、みたいな。

 

しかし、どの層に受けているんだろうか?

謎である。

 

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ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

 

 発行部数12万部を超え、著者を一挙に若手人気作家へと押し上げた注目作がついに文庫で登場!
彼氏にフラれて落ち込んでいた派遣社員の澤田三智子は、
畏怖する上司、通称“アッコ女史"こと黒田敦子部長から突然、一週間のランチ交換を命じられる。
アッコ女史の風変わりなお昼のコースを巡るうち、自然と活力が湧いている自分に気づいて……。
表題作ほか、「読むと元気になる! 」と絶賛され、本屋大賞にもノミネートされたビタミン小説。