『シンジケート』 穂村弘
穂村弘の歌集です。短歌の本。
読むのは、たぶん二度目かな。
ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり
終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて
積乱と呼ばれし雲よ 錆色のくさり離してブランコに立つ
そして、最後の『ごーふる』。
初めて読んだときはかなりの衝撃だった。
「そしてホチキスの針の最初のひとつのように、自由に、無意味に、震えながら、光ながら、ゴミみたいに、飛ぶのよ。」
わたしもかなり不器用でぼんやりしてる人間なので、分かる。
ほむほむと一緒かは分からないけど、分かる、気がする。
棒アイスは、家では食べない。
(他のことに夢中になって、落とすから。)
気がつくとヨーグルトでシャツの胸元が汚れてる、朝。
なんでみんな、平然と、当たり前みたいに生きてるのか。
不思議だよねえ。
叫びたくなったりは、しない?(わたしは車の中で叫ぶ。)
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「風の夜初めて火をみる猫の目の君がかぶりを振る十二月」 水滴が雪になるようにことばが結晶化して歌になる。そんなピカピカの恋を詠んだ穂村弘の初の歌集。
『百日紅』 杉浦日向子
『百日紅』映画化記念?ということで知人にいくつか杉浦日向子の漫画を借りた、そのうちのひとつ。
ずばり、『百日紅』。
江戸時代、葛飾北斎の生きた時代。
江戸の町での人々の暮らしぶりが垣間見える。
北斎の娘のお栄が良いね。芯がしっかりしていて、でも迷いもあって。
良かった。
お勧め。
読んだのは実業之日本社のものだったけど、絶版みたいなので、ちくま文庫のリンクを貼っておきます。
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『コントロールゲーム』 郷里悟
幻冬舎のキャラクターノベル、という位置づけらしい。
ライトノベル(硬め)って思っておけば良いかも。萌えを前面に押し出したりはしていない。
タイトルと、あらすじが、中身と合ってない。
天才と称される人がいっぱい出てくるけど、そんなに天才っぽくない。
伏線が分かりやすくて、展開が読める。
…みたいなところは気になるけど、まあ普通に面白かった。
続きが出たら、本屋で実物を見て買うかどうか決める。ぐらいの感じかな。
でも、ライトノベルとか読んだことない人だと、トンデモな感じで、受け入れがたいかもしれないねー。
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日本中から集めた天才奇才を次世代の人材に育成する幕乃宮学園で、マインドコントロールによる集団自殺事件が発生。学園の融資元である帝都銀行から派遣された陣条和久は、成績トップの冷徹な女子高生と共に、事件を調べ始める。警察や諜報員の罠を避けながら、犯人との頭脳戦を繰り広げる二人が暴いたのは、人を破綻に導く脅威の計画だった。
2015年5月15日の所感。
久しぶりに近況でも。
とりあえず元気です。
ゴールデンウィーク明けで丸5日間会社行って疲れたけど、事件のショックからはほぼ立ち直った感じで、むしろ前より元気になった気がするぐらい。
不思議だね。
なんだろう、事件の前から仕事のことでかなりのストレスを感じていたようで、事件があってそのストレスも一緒にどっかーん!と噴火して、いろいろ大変な状況になったわけだけども、その大変な状況は誰が見ても原因がはっきりしていて分かりやすく、いろいろな人に話を聞いてもらって慰めてもらったんだよね。
とても、弱音が吐きやすい状況だった。
それでいろいろ話してるうちに、今の、この、仕事もままならない大変な状況は、事件のせいだけじゃなく、積もり積もった仕事上のストレスもあるんじゃないか、という指摘を受けて、そうかも、と、ようやく気づいたわけです。
仕事上の弱音とか愚痴とか、最近ぜんぜん吐き出せてなかったんだ。
たぶん、プライドが邪魔をして。
それが、あの事件がきっかけで、友達とか同じチームの人とかに言えるようになった。
結構な前進だと思う。
ゴールデンウィークにインドに行こうとしてたんだけど、集中力がなさ過ぎてビザの申請ができなかったので、キャンセルしました。
でも、ぜんぜん残念じゃなかった。
暑い時期に行くの、ほんとはかなり嫌だったみたい。
自分が腹の底で何を考えているのかって、意外と分からない。
ノイズが多すぎるんだね。
『黒猫と侯爵の従者』 佑羽栞
たまに、少女漫画を読みたくなる。
花ゆめ派です。
もう本誌買ってないけど。
本屋さんでジャケ(帯含む)買いだったわけですが、ストーリーがしっかりしていて面白かった。
一巻できれいにまとまってる。続きがありそうな気配もしつつ。
この作者の人、わたしが本誌を購読していたころ(つまりかなり昔ってことだけど)に連載していて懐かしい~と思ったんだけど、久しぶりの単行本だったみたいだね。
絵も前より綺麗になっていて(たぶんそんな気がする)、良かったです。
これからも頑張ってほしい。
主人公の黒髪おかっぱ可愛い。
あと、この従者みたく裏表のあるキャラが好きなんだな(笑)
表紙はちょっと惜しい感じするねー。
続きが出たら買います。
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「こんな凶暴なメイド見たことない!」 窓から飛び降り、天上裏に忍び込み、時価180万円の家具を蹴り倒す…!実は彼女は“英国子爵邸に忍び込んだ怪盗キャットテイル"だった!そんな世を騒がす怪盗を捕まえたのは、クロフォード侯爵家の従者ルシアン・カーティス。キャットは、“御主人様命"のルシアンに強請られて盗みの片棒をかつぐことに…!?美少年侯爵様×怪盗黒猫×性悪従者によるスゴ腕な三角関係ラブストーリー開幕!! 2015年4月刊。
『東のエデン』 杉浦日向子
『百日紅』映画化記念(?)ということで、杉浦日向子の漫画をいくつかまとめてお借りした。
そのうちの一冊、『東のエデン』。
筑摩書房じゃなくて、青林堂のもの。
解説は、赤瀬川原平が書いている。
舞台は、文明開化後の日本。
語彙がなくてうまく説明できないけど、外国人が珍しいものの普通に町を歩いていて、学生さんが医学を学んだり、絵画を学んだりしていて、でも洋装の人はそんなにはいなくて…。
特別大きな事件が起こるわけではないんだけど、その時代の空気が伝わってくる感じ。原っぱ、砂ぼこりの舞う道、田んぼ、ふんどし、西洋への憧れ、みたいな。
好きだな。この人の漫画。
『百日紅』の映画も面白そうだね。この辺でもやってくれると良いなー。
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『忘却のレーテ』 法条遥
突っ込み始めるといろいろあるけど、でも面白かった。
閉鎖空間で毎日記憶をリセットされる。
主人公はその実験に参加する前からすでに精神にある歪みを抱えていて、その主人公の視点で話が進むので(形式的には三人称だけど)、読み手も結構調子狂わされる感じ。
毎朝ゼロスタートで、でも前日となんか矛盾していて、主人公は前日の記憶がないけど違和感を覚え、読者のわたしは「あれ?」と思いつつとりあえず読み進めるんだけど、だんだん混乱してくる。
侵食される感じが、ちょっと気持ちわるい。
法条遥は『リライト』『リビジョン』を読んでいて、『リビジョン』がちょっとひどかったので避けていたんだけど、今回作者を見ずに買ってしまったという経緯。
この『忘却のレーテ』はわたし的にはマルの範囲だったので、結果的には良かったかな。
昔はもう少し潔癖だったけど、最近は少しでも面白いところがあるならその本は成功しているんじゃないか、みたいな考え方に変わってきた。
作品単体としての完成度よりも、わたしにどんな影響を与えてくれるのか、っていうところのほうが重要なんじゃないかと。。
その意味で、この作品は成功しているし(少なくともわたしにとっては)、これだったら他の作品に手を伸ばしても良いかなーと思える。
まぁ、『リライト』『リビジョン』に続く四部作の残りは、やっぱり避けるけどねー。
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両親を事故で亡くした女子大生・笹川唯は高額の報酬と引き換えに記憶消去薬「レーテ」の新薬実験に参加する。完全に閉鎖された施設で、天才科学者の監視のもと過ごす7日間。毎日記憶をリセットされる唯と5人の被験者たちだが、ある日目覚めると流血死体を発見して――。どうしてこの手は血塗れなの……まさか私が、殺したの? 驚愕のエンディングに戦慄必至の記憶喪失ミステリ。